Sindell Law Offices E-Min Newsletter (Vol. 8) - Japanese Article #34
今後の米国移民法に影響を及ぼしそうな今回の選挙結果
今回の大統領選挙を初めとした選挙結果は私たちの取り扱っている移民法にとってはたいへん重要な意味を持っています。
まず初めに、ブッシュ、ケリー両候補による大統領選で、ブッシュ現大統領が2期目の勝利を果たしたことにより、今後の移民改革についても何かしらの影響が出てくるでしょう。その代表的なものの一つに、ブッシュ大統領が今年1月に提案した一時的労働許可プログラムがあります。ブッシュ大統領の提案しているこの一時的労働許可プログラムとは、今後米国にて就労を考えている外国人労働者ならびに現在米国内に不法滞在している労働者に対し適用されるもので、米国内での就労受け入れ態勢の軟化も目的としているものです。このプログラム参加者には更新可能な3年の労働許可とともに渡航許可が発給され、再入国の拒否を心配することなく自由に米国を出入国することができます。今後この一時的労働許可プログラムに対し、新ブッシュ政権がどの様な動きを示すか見守っていきたいと思います。
その他、今回の各州の選挙結果を受け、今後の移民改革に影響を及ぼしそうな主な選挙結果をいくつかご紹介いたします。
(プラス要因)
1. タンクレド下院議員(コロラド州選出、共和党)が2002年の67%から下がって今回60%の得票率で当選しました。タンクレド氏は以前全ての移民を6ヶ月間停止するという法案を導入しようとした人物でも知られていますが、議会の中でも最も有名な反移民を唱えている人物です。そのタンクレド氏の今回の得票率を下げての辛勝は親移民派の下院議員にとっては、彼の主張に対し、優位に異議を唱えることが可能となるでしょう。
2. フレーク下院議員(アリゾナ州選出、共和党)が2002年の65%から大幅に上がって今回79%の得票率で勝利しました。また、コービー下院議員(アリゾナ州選出、共和党)が63%から若干得票率は下がったものの勝利しました。このコービー、フレーク両氏はブッシュ大統領が今年初めに提案した一時的労働許可プログラムの法案化に賛成の立場を取っています。この結果は今後の議会において移民改革をより良い方向へ導くための重要な勝利だったと言えます。
3. カンザス州の下院議員選挙戦でクリス・コバッチ氏が敗北しました。クリス氏は米国司法長官アシュクロフト氏の重要な元アドバイザーで、下院議会にとって最も影響力のある反移民派の一人でした。
(マイナス要因)
1. アリゾナ州住民提案200号が住民の56%の支持率を得ました。これは1994年のカリフォルニア住民提案187号(不法在留者外国人は州の公的な教育制度の適用外とするなど、法的地位を立証できない人々にとってはたいへん厳しい提案)に次ぐ反移民提案です。しかしながら、親移民派にとっての今回のこの敗北は住民提案200の法制化がすぐに法廷で敗訴することも考えれらますので、実際は大きな意味を持たないかもしれません。
2. ダシュル上院議員(サウス・ダコダ州、民主党):少数党院内総務だった同氏の落選は、民主党にとってはかなりの打撃です。代表的親移民派の一人であったダシュル氏は今回再当選したヘーゲル上院議員(ネブラスカ州選出、共和党)とともに、SOLVE ACT(Safe, Orderly Legal Visas and Enforcement Act)を推した人物です。しかしながら、ダシュル上院議員は今回落選したものの、伝統的に上院は下院に比べ親移民寄りであることを考えると上院の引き続きの親移民寄りの動きに期待してよいかもしれません。
3. 共和党の先頭を切っての親移民派であるドライエル下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)は反移民派の集中的な反対意見もあり、2002年の64%の得票率から今回は54%の得票率によるかろうじでの勝利という結果になりました。この反移民派による選挙活動により、反移民派の意見が受け入れられた結果となってしまいました。
今回の選挙結果を受けての下院の共和党議員のさらなる過半数の増加は、2期目となるブッシュ政権の議会運営において、下院を通しての幅広い親移民寄りの法案をブッシュ大統領が推すことができる可能性を秘めているかもしれません。移民に関する問題は2期目のブッシュ政権にとってたいへん重要な意味を持っています。私たちは今後の移民改革に対するブッシュ政権の動きを期待を持って見守っていくべきだと思います。