Sindell Law Offices E-Min Newsletter BREAKING NEWS - Japanese Article #4
H-1BビザおよびLビザに関する法律改正について
2004年12月9日更新
2004年11月末、米国連邦議会はH-1bビザ及びLビザを中心とした移民法改正規定を含んだ包括歳出予算案を通過させ、2004年12月8日にブッシュ大統領は当議案に正式に署名いたしました。ただし現時点では当法律改正すべての詳細が決まっているわけではなく、不明瞭な点があることは確かです。そこで今回は11月末に連邦議会を通過した法律改正案をもとに現時点で分かっている具体的な法律改正についてご紹介いたします。
L-1非移民ビザについて
L-1bビザ保持者が米国内において関連会社など実際には申請もとであるスポンサー会社とは異なる職場で就労することに関しては多くの議論があります。(H-1bビザの取得には地域毎の平均相場賃金を支払う義務があるのとは対照的に、その制限のないLビザの利点を利用してLビザをもとに実際には申請した場所とは違う地域の米国内の関連会社などで働くケースもあるため)今回の改正案では次に述べる条件にあてはまる場合、L-1bビザは適用されないと明記されています。
(1) 関連会社ではない雇用主によってそのL-1b保持者が管理そして監督される場合。
(2) 関連会社など申請もとであるスポンサー会社とは違う職場へL-1bビザ保持者を派遣する際、それが専門的知識を含むサービス等の提供ではなく、人材やポジションなどの埋め合わせとしての労働力の提供となる場合。
上記の法律改正は実際の法律施行日以降に提出された新規、延長、及び改正の申請に対して適用されます。
また、L-1ビザの種類の中に特殊な例としてブランケットL-1ビザというものがあります。通常L-1ビザには様々な条件がありますが、その中の一つにビザ受益者の職務経験の必要期間があります。通常のL-1ビザ受益者が過去3年間のうち少なくとも連続して1年以上米国以外の関連会社にて重役・管理職もしくは専門知識がある職員としての職務経験が必要であるのに対し、ブランケットL-1ビザは1年の代わりに連続した6ヶ月間の同職務経験があれば良いというものでした。ただ今回の法律改正を通してブランケットL-1ビザについても最低1年以上の同職務経験があることを証明しなくてはならなくなりました。
(ブランケットL-1ビザ取得の条件を満たす企業とは3ヶ所以上の関係会社をもつ場合で、過去12ヶ月の間に少なくとも10人のL-1ビザ社員を米国に転勤させている、もしくは米国内にて2,500万ドル以上の売上がある場合、又は1,000人以上のアメリカ人従業員を雇用している場合など、様々な条件があります。)
H-1B非移民ビザについて
今回の法律改定案の中で最も衝撃的なものがH-1bビザについてのものです。その概要は次のとおりです。
(1)H-1b外国人労働者を雇用する代わりにアメリカ人従業員を解雇しないということを証明しなければならない。
(2)H-1bの申請費用が現在必要とされている185ドルの申請費用に加え1,500ドルが追加となる。これは昨年秋に期限切れとなった課徴金(米国人労働者の訓練プログラムの援助金用としてH-1b申請の際、ほとんどのH-1bビザ申請企業に課せられていた1,000ドルの申請費用)の事実上の復活です。ただし関連会社及び子会社を含むスポンサー企業の米国内におけるフルタイムによる従業員が25人以下の場合、申請費用は半額の750ドルとなります。(これは転職を含めた新規のH-1B申請、及び1回目の延長申請(通常3年目)の際に適用されます。ただし2回目以降の延長(例えば7年目、8年目など)、及び会社形態が変わるときなどに提出する改正申請には適用されません。さらに高等教育機関またはそれと関連する非営利団体に雇用される場合、または非営利研究団体あるいは政府の研究機関に雇用される場合は、この費用の適用を受けません。)
* この新しい申請費用は2004年12月9日以降の申請に対して適用されます。これら申請費用は以前の法律と同様、スポンサーとなる雇用主が支払わねばならず、この費用を後でビザ受益者へ雇用主より再請求することはできません。
(3)これまで雇用主はH-1B申請の際、ビザ受益者が就労する地域、当該職種に応じてPrevailing Wage(平均相場賃金)の95%以上を支払う必要がありましたが、法律改定後はその100%の支払いが要求されます。さらに今まではある一定のポジションに対して平均相場賃金がそのレベルに応じて2種類しかありませんでしたが、労働局によってさらにその二つのレベルの間を取る2種類の賃金データが追加されます。またこれまでの2種類しかないデータをもとに平均賃金をはじき出す場合に対する計算式も新たに導入されます。
その他今後ビザ申請に対して必要とされる申請費用
詐欺行為防止のため更に500ドルのFraud Feeが各申請毎に必要となります。その対象は新規および転職によるH-1b(非営利団体などへの雇用も含む)、Lビザの申請および米国内にて他の種類のビザからH-1bまたはLビザへステータスの変更を行う際に必要です。ただしこれは延長および改正申請には適用されません。さらにこの費用は外国からブランケットLビザにて申請する際にも必要となりますがビザ受益者の家族のビザ申請には適用されません。ただこの費用の支払い義務が誰になるかは今のところはっきりしておらず、今回の法規の表現及び移民局のこれまでの見解を見る限り、この費用も雇用主に対して支払い義務が生じるものと思われます。
* この新しい申請費用は2005年3月8日以降の申請に対して適用されます。したがってもし現在この費用の支払い義務のあるビザ申請予定者の方は早めに対応することをお薦めいたします。
H-1B非移民ビザの年間上限枠の対象外となる新しいH-1b枠
米国内にある教育機関で修士号またはそれ以上の学位を取得した外国人はH-1Bの年間上限枠から除外されます(現在の年間上限枠は65,000件)。この新しい特別H-1B年間枠は現在新規のH-1B申請に対して設けられている年間上限枠とは別に20,000件が設けられるというものです。もしこの特別枠が早々に埋まるとすればそれ以降の対象となる申請者は通常の年間上限枠のH-1B申請として扱われることになります。
* この新しい特別申請枠は2005年3月8日までは有効ではなく、その詳しい申請ガイダンスについては今後正式に発表されることとなっています。
労働省の調査権限について
今回の発表の中にはビザスポンサー会社に対する賃金支払い等を中心とした労働省による調査権限の復活も盛り込まれています。これは雇用主が労働省の調査権限に関する条項に従わない何かしらの理由がある場合、労働長官の判断のもと適用されることになります。ただその調査は雇用主側の明確な間違いや不十分な情報に対しては行われないこととなっています。詳細は次の通りです。
(1) 調査の根拠となる雇用主の業務内容や経営状況等の情報は合法的で信頼できる情報源に限る。
(2) 労働省により今後作られる新しい調査基準をもとに雇用主は情報を提供することになる。
(3) H-1B申請に使用したLCAなど雇用主により労働省に対して提供された情報は正式な情報として見なされない。
(4) 雇用主による情報違反が発覚してから12ヶ月以降経過している場合、いかなる調査もそれに関連した意見聴取も行われない。
(5) 限られた例外をもとに調査を開始する場合はその旨を事前に雇用主に対し通達するよう労働省に指示する。
(6) 労働省による調査は60日間とし、もし違反行為の根拠があれば労働省は雇用主に対して意見聴取決定の通知を送る。その意見聴取はその決定から120日以内に行わなければならず、根拠の確認事項は意見聴取から120日以内に明確にされなければならない。
この労働省の雇用主への調査に関する新しい条項を見る限り、今後労働省は違反の疑いのある雇用主に対する制限が多くなり、動きがとりにくくなるという感じを受けます。また今回の新しい条項では雇用主が必要条件を満たすためにテクニカルなまたは手続き上の違反があったにもかかわらず、その必要事項に従うという誠意を示せばそれは許されることにもなっております。ただしある雇用主が労働省により違反の疑いをかけられ、違反の正当な理由説明を求められるか又は違反そのものの修正の猶予期間を与えられたにもかかわらず無視するようなことがあれば厳しい罰則が与えられることとなるでしょう。
また雇用主のビザ取得者への平均相場賃金の計算に関し、計算された平均相場賃金が業界の基準と一致するということが証明できればスポンサーとなる雇用主はその平均相場賃金の誤った算出に対して一切のペナルティーや罰金も課せられないということも盛り込まれています。ただし実際に支払われる金額が労働省へ提出した賃金額と違ってはいけません。